飲むと縁が切れる…「鉄輪の井」

~京都の怨霊・魔界・百鬼夜行を伝説とともに歩く~飲むと縁が切れる…「鉄輪の井」

飲むと縁が切れる…「鉄輪の井」

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「山州名跡考」にこんな話しがある。
堺町通松原下ルに。夫婦が住んでいた。
妻は嫉妬深い女で、夫の帰宅が少しでもおそいと、大変なヤキモチの焼きよう。
家庭は女性のことで口論がたえない。夫もおもしろくないなか、
外に女性をかこって、毎日のように通った・・・・・・・・・
妻の怒りはいまは尋常ではなかった。
「くやしい!どうしてこのままで置くものか。のろい殺してくれようぞ」
しっとの鬼と化した妻、貴船神社に丑の刻まいりを発願した。
のろう為の人形を作り、うらみをこめて神木にうちつけ、
呪文を二十ペンとなえて釘を打つ満願は七日。
いでたちは顔に朱をさし、からだに丹を塗り、頭に鉄輪をいただき、
その三本のツノに火のついたロウソク、口にはたいまつをくわえて
丑の刻(午前二時)にまいる祈りだ。
鬼気迫るその形相は「太平記」に「鬼形に異ならず・・・・・」とある。
満願を前にした六日目の日であった。
女の足に貴船の道はきつかったのか、
深夜の祈りに弱りきったのか、妻は自宅近くの井戸のほとりでバタリと倒れ、
そのまま息たえてしまった。
付近の人は妻をふびんい思い鉄輪でもって塚をきずき、
そして、この井戸に生まれたのが、水を飲むと縁が切れるといううわさ。
祈願者はと遠くから訪れた。塚にはお礼のつるべ縄や絵馬も多く上がった。

この伝説は「源平盛衰記」剣の巻きから生まれたとか。
けれども、縁切り伝説はよろしくないというので、
寛文八年(1669)五月、稲荷大明神をまつり、逆に縁結びの神とした。
{貴船神社も今は縁結びで有名である}
元冶元年(1864)、火災で社殿は焼けたが、町総代が神霊を保管、
新たに神社を建てて夫婦和合福徳円満の神として命婦稲荷社と称した。
昭和十年十一月のことである。



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