嫁入り前なら破談になる「班女(はんにょ)伝説」

~京都の怨霊・魔界・百鬼夜行を伝説とともに歩く~嫁入り前なら破談になる「班女(はんにょ)伝説」

嫁入り前なら破談になる「班女(はんにょ)伝説」

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この塚の前を縁談事で通ると、かならず破談になると昔は云われた。
今では逆に商売繁昌と言われる。
班女(はんにょ)伝説の"班女"の音が"繁昌"に通じるせいだろうか。
けれども、今はそんな伝説を信じる人も少なくなった。
小詞(しょうし)は荒れはて、供花をたむける人もない。
塚跡の赤い大きな岩だけが、妙に大ぎょうな姿で寝そびって小さな詞が残る班女塚。

今は昔、長門前司に二人の娘がいた。
姉は早く縁づいて、高辻室町に住んだが、
妹はこれという、いいかわした男もおらず、姉の家から宮仕えしていた。
その妹が二十七、八になったある日、ポックリと死んでしまった。
家が手ぜまだったので姉は遺体を妻戸口に置き、近所の人たちに手伝ってもらい、
棺におさめて鳥辺野に運ぶことにした。
しかし一行が鳥辺野に着いた時、棺のフタが少しあいて、おさめたはずの遺体がない。
「はて、どこかに落としたのだろうか??」
人々は八方に分れて捜した。
が、見つからない。
そのうち日も暮れてきたので、家にとってかえすと、
不思議にも遺体は先の妻戸口に置かれたまま。
姉たちは奇妙に思いながらも翌日、また棺を鳥辺野に運んだ。
だが、鳥辺野に着くと、昨日と同じように棺のフタがあいて、遺体がない。
一度ならず二度までも・・・・・人々は気味悪がった。
といってそのまま放置しておくわけにもいかない。
また棺におさめようとしたが、こんどは遺体がガンとして動かない。
まるで根の生えた木のように。
と、なかに年老いた男がいて、
「妹ごはここに置いてほしいのではないか。だから、動かないんじゃろ。
ここに埋めてあげなされ」
妻戸口の板敷きをはがし墓をほうと、案の定、遺体はかるがると動いた。
姉はその後、他所に引っ越した。
近所の人々も気味悪がって一人去り、二人去り。
あたりはすっかり荒れはてて塚だけが残った。
塚はいま、古ぼけた小詞と岩が残るだけだが、この塚をして勧請(はんにょ)
してまつっているのが近くの繁昌神社だ。
かつて、班女の霊をなぐさめて全裸の男がみこしをかついだとか。
しかし、もはや祭りはたえて久しい。。。。



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