真夜中に踊るネコ「浮かれ猫の絵馬」

~京都の怨霊・魔界・百鬼夜行を伝説とともに歩く~真夜中に踊るネコ「浮かれ猫の絵馬」

真夜中に踊るネコ「浮かれ猫の絵馬」

その昔、京の町衆を恐怖におののかせた"浮かれ猫の絵馬"は光清寺の境内、弁財天社に掲げられている。
色あせ、木目が浮き上がり、その輪郭さえ、さだかでない絵馬だが、ネコの目だけは
今だにランランと輝いている。
浮かれネコ絵馬、またの名は真向猫(まむきねこ)と呼ばれるこの絵馬は、
宝暦年間、 今から約二百余年前。伏見宮家の鎮守、玉照神社にかけてあり、
宝暦七年に伏見宮が江戸に移ったとき、光清寺に移され、
その時からこの絵馬にまつわる数奇な伝説が始まった。

このあたり、夜のとばりがおりると人影は絶える。
昼間、あれだけにぎわった参拝の人々もいつの間にか姿を消した。
ある夜、境内から三味の音が聞こえてくる・・・
「風流な人もいるものだ!、こんな夜ふけに・・・」
職人が耳をすますと、三味の音に合わせて歌声も流れてくる。
不思議に思った職人、酔った勢いも手伝って境内わきの門をそっとくぐり、
三味の音に近づいた。
深い闇、職人がふと見上げると弁天さんのあたりがぼっと白く浮く上がっている。
職人は腰を抜かさんばかりに驚き。
自分の目に映った光景が信じられなかった。たえなる三味の音に合わせ、
白い衣をまとった天女が舞っているではないか!
職人の叫び声に天女の姿はぱっと消え、そのあとに真っ赤な口をあけ、
金色の目を光らせ一匹のネコがうずくまっていた。
以来、夜も静まり人通りが絶える頃になると・・・・
決まって三味と歌が流れる。
誰言うことなく

「浮かれネコ」の仕業と呼ぶようにんなった。
町衆もこの寺だけは避けて通った。
思い余った住職・松堂和尚が、加持祈祷の力でネコを封じ、
絵巻に金網をかぶせてしまった。
ところがある夜、和尚の夢枕に衣冠束帯姿の高士が立ち。
しんみりと語りかけるではないか! 」

「私は大明神の従者だが、人が来てうれしくなると踊りたくなるんです。
和尚の法力でこんなありさまになったが不自由でしかたがない。
二度と軽率な事をしませんから封をといて頂きたい」

哀れに思った和尚は金網を取り除き、絵馬を元の弁財天にかけてやった。

「ネコも踊り出すほど三味がうまくなる」
こんな噂が広がり、人気商売にご利益があるんだとか。



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